September Records

セプテンバーレコードの店主です

DOOM

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彼らの曲を聴いているといつも、自分も仲間たちとあんな風にギターを弾いて歌ってみたいという気持ちになる。それと同時に、彼らのような連帯感をもつバンドは、僕にはもう出来ないだろうな、という決してネガティブではないけれど、そんな気持ちがいつも交差してしまう。

 

敵わないなという気持ちはどうすることも出来ないから、音楽なら聴きまくって自分の一部にしてしまえばいい。ヤコブ氏のアルバム「お湯の中のナイフ」が出た当初は、本当に毎日リピートして聴いていたし、それから何ヶ月間も起床時にまず頭を巡るのは「DOOM」だった。

 

最近色々あり過ぎたから、身の回りのことが疎かになってしまい、好きだったことも良くわからなくなってしまうくらい、自己嫌悪の毎日が続いていた。朝は山に行くだけの元気が出ない反面、夜には取り返すように映画や漫画を見まくるが、ほとんど頭に入ってこない空回りの毎日が辛かった。

 

コロナの状況に左右され、家主の東京の公演にはなかなか行くことが出来ず、個人的に約2年振りとなった彼らのライブ。会場は後ろまでお客さんで埋め尽くされていた。

 

最近はライブ中でも身に起こっている問題を反芻してしまいがちだったけど、眩しい光のような彼らの音楽に、昨日は一時もステージから目を離すことが出来なかった。

 

するとこれまで彼らの音楽に重ねて来た自分の気持ちが蘇り、本編最後に彼らの「DOOM」が始まると、その思いはピークに達した。あの轟音のなか救われた気持ちになったのは僕だけでは無かったと思う。

 

「欲し〜いもの〜も 欲し〜い〜と思〜わな〜くなっちまったよ」と清々しい気分のなか口ずさみながら、雨の渋谷をあとにする。そして、いつの間にか口笛を吹くまでに回復している自分に気がついた。

 

そして仕上げは京都・磔磔にて。やはり生の音楽は無敵だった。