September Records

セプテンバーレコードの店主です

行き当たりばったり松本への旅。

ホテルを出て、昨日飲み屋で教えてもらった近くのパン屋さんteteへ。小麦のクロワッサンはじめ、小松菜とカマンベールチーズのパンも美味しかった。多分全部のパンが美味いはず。店構えや陳列の感じで大体わかる。ジャケットが良いレコードにハズレはない。

寝坊したから直ぐに車を走らせる、雲は少しあるものの、空は青く天気がよい。

時たまパラっと降ってくる雨は、どこから来るのだろう。とにかく、東部湯の丸で高速を降りたあと、三才山トンネルへ向かう通りが素敵すぎた。

山を裂くように走る国道、雲間から強く差し込む光が、紅葉の山々を照らし出して、見事なコントラスト。特別に吸い込まれるような色や形の木々に出会うと、ついハンドルを取られそうになる。まるで黄泉の国だ。

それまで気にならなかったカーステレオから、電気グルーヴ / 虹(A Day In Japan)が流れ、音楽と景色が一体化した一瞬、オレこのまま死ぬのかな、というような感じがした、あまりにも贅沢な5分5秒。

松本には12時に少し前ついた。マーキングレコード→かつ玄 カキフライ→ミナペルホネン→珈琲まるも→栞日→マーキングレコード再び、で3時間大満喫。

時間はまだあるけど、一人白線流しをやっても虚しい。それよりも、あの景色をまた見ながら帰りたいと思い、早い時間に松本を発った。帰り道は午前中と違い、山々自身の影でつくらる紅葉のグラデーションがよい。

三才山トンネルを抜けると、看板に上田市街まで20数キロの文字、そういえば20年来の友だちの出身地は、確かこの辺りだったような気がする。車を端に停め、久々に彼女にメールをすると、こんにちは!と一緒に、今行くべきスポットリストが返ってきた。

上田方面に30分ほど車を走らせながら、あの子はこんな景色を見て育ったのか、とか、奥に連なる二色の山に向かってゆっくりとカーブする道路が、ファミコン極初期に任天堂から発売されたF1レースみたいだなぁとか思っていたら、たまたま倉庫開放日だった家具屋、halutaについた。

だだっ広い倉庫に、素晴らしいデザイン家具や小物が沢山ありすぎて、ちっとも落ち着かない。ミナのファブリックを使ったソファやチェアも眩しすぎる。

ただ、初めて務めたデザイン事務所で使っていたものと同じコーヒーカップが目の前に現れた瞬間、足が止まった。

約15年前に事務所を去る日、いつかまたこのカップでコーヒーを飲みたいなと、初めて裏の刻印を確認し、今までずっと覚えていた。あちこちの実店舗でさがしても同じ形のものは見たことはなかったし、ネットで買おうなんて野暮なことはしない。


つい最近、そのデザイン事務所がもうすぐ移転する、と連絡があった。デザインの基本、全てを教えてもらったあの空間に、ここのところ再び想いを馳せていたから、こうして今日、このカップに出会えたのは運命なんだなと思う。

これまで運命的なことはもちろん、運命と思い込んでいることはたくさんあるけど、その方が幸せだなと思う。ミナのソファもいつか。

 

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