September Records

セプテンバーレコードの店主です

VOXのギターアンプ

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カネコアヤノさんのライブで使って頂いたギターアンプ、2日経った今もまだ、クルマに積んだままだ。今もあの夢のような時間を引きずっていてる。

 

連休が明けた昨日今日、雨だし寒いし、極端に来客が少なかった。一人の時間が多くて、考えごとばかりしてしまう。

 

今日は女性がビートルズ海賊盤CDを大量に売りに来てくれた。出どころを聞くと、亡くなったおじさんが集めていたものだと言う。

 

僕が亡くなったら、この店はどうなるのだろう。レコードはどこにいってしまうのか。ちゃんと持つべき人の元に渡っていくのかな。

 

殆どが20年以上前のCDだ。ダンボールに順番関係なく無造作に詰められている。手書きの値札が貼られている物があった。集めていたおじさんも、おそらく西新宿にあったどこかの店で買ったんだな。2010年のポール・マッカートニーのライブCDがあった。あ、2枚シェリル・クロウが紛れているぞ。

 

買い取り査定をしながら、会ったこともない人の人生のことをあれこれ考えてしまう。

 

今日はまあいいか。あ、そろそろアンプ片付けないとな。なんか片付けちゃうのもったいないな。やばい、仕事しなきゃな、明日でいいか。

 

閉店後、後ろにギターアンプを乗せたクルマでコンビニに行った。いま100円のコーヒーを飲んでいる。「カネコアヤノ / やさしい生活」の歌詞が一日ループしていた。

カネコアヤノTOUR2018”祝祭”高崎編

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カネコアヤノTOUR2018”祝祭”高崎編、満員御礼!ご来場くださりありがとうございました。

 

昨日の事、長くなりましたが思ったことを書いておきます。(第一稿)

 

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高崎駅から車で30分程度の距離にあるセプテンバーには、一般的なレコード店より時間に余裕がある方の来店が多く、一人当たりに接する時間が長くとれるため、お客さんに合った音楽をゆっくりオススメしたり、お話したりできる。時には話が進み進学、就職、人生相談も、、。

 

たまにそんな接客は不要だと思う方もいて心折れそうなこともあったけど、次の9月で開店から2年、僕が求める地方のレコード屋としての役目をなんとかやってきたつもりです。

 

カネコアヤノさんの音楽は、セプテンバーの心良いお客さんに合っているようで、これまでオススメして試聴してくれた多数の方が購入してくれた。

 

それからは、県外でのライブを観た方が報告に来てくれたり、新曲や、テレビ・ラジオ出演の話をしたり。自分もそうだったように、話が苦手そうな方もだんだんと共通の話題から話してくれるようになったのは嬉しい。

 

カネコアヤノさんの音楽で辛いことを乗り切ったなどと教えてくれた人はたくさんいた。飾らない日常の歌で作る世界が、人を支え、人を繋いでいる。彼女の歌を、これからも素直に感じていられるように、身もこころも健康でいたいと思った。

 

そしてついにライブの日。カネコアヤノさんが、セプテンバーレコードにご来店。道中近づくほどにあふれる草花、店内に散らばるぬいぐるみ達にほっこりされていたようだ。

 

実際店にお越し頂いたことで、田舎の小さな店から広がっていく感じとか、これまでのお客さんとの話とか、納得していただいたみたいだった。

 

GWの混雑を避け、余裕を持って出発して頂いたため、予定よりかなり早く到着したのに、リクガメのりんごちゃんと戯れていたらリハーサル時間に若干遅れた(笑)。

 

少しでも多くの方が座れるように、座席間が狭く行き来がし辛くなってしまいましたが、お客さん同士が協力してくれて、オンタイムで開始することが出来ました。ありがとうございます!

 

ツアーが始まったばかりなので細かなライブの内容は控えます。ライブ中の写真も撮りませんでした。

 

髪を揺らしかき鳴らすギターと、身体が震える程の声量に、客席全体が鷲づかみにされたよう。鋭い眼光と圧倒的な存在感に、微動だにできなかった。

 

ただ、本編終盤「祝日」の最後、客席の感情が溢れて抑えられなくなり会場ごと揺れてしまった、ような感覚になったのは僕だけか。

 

言葉にできないくらい素晴らしかった。沢山のお客さんが僕を見つけてくれて感想を言ってくれたのだが、お互いに、観れて良かったねーと言うしか出来なかった。

 

ライブが決まってから、仕事も忙しくなって、ここ3ヶ月くらいお酒を飲んでいる余裕が無かったけど、無事ライブが終わった解放感と幸福感に包まれ、打ち上げではすぐにお酒が回ってしまった。

 

カネコアヤノさん、また高崎に来たいと仰ってくださっています!また近くお呼び出来るように、頑張ります。ツアー以外にライブも続々と決まっているようなので、進化Tシャツを着て駆けつけたいです。

 

カネコアヤノさん、マネージャー粟生田さん始め、お手伝い頂いたスタッフの皆さま、準備から当日の音響・照明など細かい調整も素晴らしかったWOALの皆さまもありがとうございました!

 

カネコアヤノTOUR2018”祝祭”高崎編、ご来場頂いた皆さま、本当にありがとうございました!次回また群馬で!

 

(写真はカネコ商店のtwitterからお借りしました)

横断歩道の青信号

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数年前の寒い夜、それからおよそ一時間後に始まるというゴハン会に誘われました。彼らにとって僕は後回しの人間なんだな、なんてちっとも思いませんでした。地元に友だちが殆どいなかった頃だったので、むしろ’みんな’のリストに名前が挙がったことは嬉しい事件でした。

暖かい色をした壁紙の座敷がある店に着いた頃には、宴は既に中盤で、あれが美味い、これを食べろからはじまり、身の上話から仕事の話、これまで地元の仲間と食事を囲むことが無かった自分にとって、受け入れられている感のなか過ごす時間は、あまり態度には出しませんでしたが、とてもとても楽しかったのです。

誰かを軸に集められた7~8人は、時間もあることだし、この後パフェでも食べてこうと、僕がそのあと一人で行くはずだった、一人でよく行く馴染みの喫茶店へとなだれ込みました。

古くノスタルジー溢れる店構えや、素朴な味わいのメニューは、自分にとって、素直に美味しくて安らげる、貴重な店でした。

みんなはすぐに店を気に入ったようでした。多人数が苦手な僕は、緊張を隠すため、あわよくば、この場のすべての人間に気に入られようと、いつもの自分より、少しおどけることを選びました。

いわばこの店は僕だけのホーム。話は弾み、今後の人付き合いの可能性が見えてきたため、機嫌が良くなっていました。徐々に饒舌になり、発言がエスカレートしてしまったと思います。

時間の進み方がよくわからない空間、すっかり夜も更けてしまい、宴もたけなわ、会計を済ませ外に出ると、「いい店だったね、またこよーっと」と誰かがつぶやきました。

僕は最後のひと笑いが欲しかったのでしょう、咄嗟に「こういう汚い店で、マズいパフェを食べるのも、たまにはいいよね」と口走っていました。

確かにひと笑いは得ましたが、即座に猛省しました。なんで「雰囲気のあるいい店、素朴な味で美味しかったね」というようなことが言えなかったのでしょうか。

横断歩道の信号が青に変わり、みんながそれぞれの方向へ帰って行きました。あんなに冷たい色をした青信号を、それまで見たことがありませんでした。

今になって、こんなことを話しても、誰もあの発言は覚えていないだろうし、最初から気にもしていなかったのかも知れません。でも、いつまでも内省を繰り返し、自己解決出来ないのが自分であり、今の自分を作っているんだなと思います。

深夜に横断歩道の青信号を見ると、胸がキューッとなってしまいます。そんな気持ちになってしまう人や、そんな人の気持ちをわかってしまう人、笑って聞き流してくれる人も、今は周りにいるので心強いな、ということを、ある本を読んで思い出しました。

大晦日

今年は良い新譜が沢山出て、
仕入れが大変だったけれど、
それによって去年より多くの方が

お店に来てくれる様になったし、
はじめてのレコードを買う方に
何人も立ち会えたのが嬉しかったです。

派手なニュースは無いけれど、
音楽によって引き寄せられた、出会って間もない方との、
深く細かい思い出が沢山あります。

何かある度に遊びに来て

仕事の悩み相談だけして帰る人、
外で勝手にアコースティックギター

弾き出してライブをする人、
コンビニ弁当を外の椅子で食べてから入店する人、
通販の箱が家に届くとお嫁さんに怒られるから
毎回うちで買ってくれる人、
長い間家にこもって書き溜めた素晴らしいイラストを
見せにだけ来てくれた人、
転職する度に報告に来る人(今年は3回)、
近くに美味しいパン屋があるんですと、
パンをごちそうしてくれた人、
ファミチキが無料でもらえるから今から行きましょう!と
初来店なのに助手席にのせてくれた人、
いつも閉店間際に来て、
周りのお客さんがいなくなったら恋愛相談をはじめる人、
彼氏が出来たと報告に来た人、
彼氏と別れたと報告に来た人、
やっと趣味がみつかったと、嬉しそうに話す人、、などなど。


個人的ニュースは

お酒が美味しく飲める様になった、
中学校2年から3年間好きだった女の子と24年振りに再会、
おばあちゃん100歳、、、など。


レコードを買うことは人それぞれのペースがあるし、
毎月買い続ける人なんて一握りだから、
これからも思い出した様に遊びにきてくれたら嬉しいです。

開店おめでとう、いつか遊びに行くよといってくれた人、
いつも気にしてくれているのは気付いていますし嬉しいです。
本当にいつかでいいので是非。

来年からはできるだけ長く営業を続ける為に
ちょっとペースを落とすこともあると思いますが、
健康な気持ちとからだで末永く頑張りたいと思います。

今後ともSeptember Recordsをよろしくお願い致します。

良いお年を!

(BGM 奥田民生 / 息子)

 

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深夜散歩

嬉しいことに、11月末から来年にかけてやり甲斐があるデザイン仕事がたくさん入った。

店での接客時間以外はデスクに向かっていることが多く、運動不足が万年化している。一日数百歩しか歩かない日もあるし、長年マウスを握り続けている右手は使い過ぎで、医者やマッサージ師から同情されるほど硬直しちゃっている。

こないだはコーヒーポットが持ち上がらないくらい腕が重く、今日はカレースプーンを持つ親指が痛む。

これでは流石に1月いっぱい入っているデザイン仕事を乗り越えられないと思い、3日坊主になるかと思うけど運動することにした。

昨日の閉店後、仕事の合間に近所を散歩しようと外に出た。イヤホンでエディ・リーダーのアルバムを聴き、うきうきと歩き出したが、街灯もまばらで暗すぎて危険、遠くでサイレンが鳴り出しよくわからない不安、目が慣れてくるにつれだんだんと見えてきた景色が不気味で怖くなり、曲をアーサーラッセルに変えて直ぐに帰ってきた。

今日は続いていた仕事が一段落したので、閉店後車に乗り歩ける場所を探しに行った。

なかなか良い場所が無く一瞬帰ろうかと思ったが、まずステーキ店に入り350gの肉を注文し平らげた。これでは足りない、さらにコンビニでアイスとコーヒーを買い、このままでは帰れない状況をつくった。

どこでもいいやと広めの公園にたどり着くと、駐車場にはぱらぱらと5台くらいの車があり、どれも中に人がいて、それぞれなて何かしているみたいだ。

園内は思ったより暗いが、昨日とは段違いに安心感がある。

今日初LP化したhideのアルバムをiPhoneに用意しておいたので、久々にイヤホンで聴きながら歩き出した。さっきまで店で聴いていたレコードは迫力があり感動したけど、いままでずっとイヤホンで聴いていた曲だから、やはりこちらの方がしっくりきた。

歩道には誰もいないから、口パクで歌ったり、サビで走り出したり、ギターを弾くまねをしても大丈夫だ。後で木陰やベンチなどに数人いたのがわかり、少し恥ずかしかったけどまあいい。それよりも、広い公園を自由に歩くのは気持ちが良い。

そんな風にしばらくしていたらある思いがよぎる。そういえばちゃんとこの公園に入ったのは初めてかもしれない。小学6年生のとき好きだった女の子とデートで行く妄想をしてそのままになっていた公園は、あの時思っていた以上に広く、小さな池と丸く赤い橋があり、細い川が流れ、遊具がたくさん、意外と起伏があって楽しい空間だった。

小学2年から長い間好きだったその女の子から、中一の冬に告白されて本当に嬉しかったけど、突然の出来事に恥ずかしくなってしまい、それ以来無視してしまった。

あの時ちゃんと思いを告げる事ができていたら、また違う人生だったんだろうかとか、その時から果てしなく分かれる選択肢を想像し、変に汗ばんだ挙句くらくらきたので、最後はever freeでダッシュしてから帰宅した。平和な一日。

 

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行き当たりばったり松本への旅。

ホテルを出て、昨日飲み屋で教えてもらった近くのパン屋さんteteへ。小麦のクロワッサンはじめ、小松菜とカマンベールチーズのパンも美味しかった。多分全部のパンが美味いはず。店構えや陳列の感じで大体わかる。ジャケットが良いレコードにハズレはない。

寝坊したから直ぐに車を走らせる、雲は少しあるものの、空は青く天気がよい。

時たまパラっと降ってくる雨は、どこから来るのだろう。とにかく、東部湯の丸で高速を降りたあと、三才山トンネルへ向かう通りが素敵すぎた。

山を裂くように走る国道、雲間から強く差し込む光が、紅葉の山々を照らし出して、見事なコントラスト。特別に吸い込まれるような色や形の木々に出会うと、ついハンドルを取られそうになる。まるで黄泉の国だ。

それまで気にならなかったカーステレオから、電気グルーヴ / 虹(A Day In Japan)が流れ、音楽と景色が一体化した一瞬、オレこのまま死ぬのかな、というような感じがした、あまりにも贅沢な5分5秒。

松本には12時に少し前ついた。マーキングレコード→かつ玄 カキフライ→ミナペルホネン→珈琲まるも→栞日→マーキングレコード再び、で3時間大満喫。

時間はまだあるけど、一人白線流しをやっても虚しい。それよりも、あの景色をまた見ながら帰りたいと思い、早い時間に松本を発った。帰り道は午前中と違い、山々自身の影でつくらる紅葉のグラデーションがよい。

三才山トンネルを抜けると、看板に上田市街まで20数キロの文字、そういえば20年来の友だちの出身地は、確かこの辺りだったような気がする。車を端に停め、久々に彼女にメールをすると、こんにちは!と一緒に、今行くべきスポットリストが返ってきた。

上田方面に30分ほど車を走らせながら、あの子はこんな景色を見て育ったのか、とか、奥に連なる二色の山に向かってゆっくりとカーブする道路が、ファミコン極初期に任天堂から発売されたF1レースみたいだなぁとか思っていたら、たまたま倉庫開放日だった家具屋、halutaについた。

だだっ広い倉庫に、素晴らしいデザイン家具や小物が沢山ありすぎて、ちっとも落ち着かない。ミナのファブリックを使ったソファやチェアも眩しすぎる。

ただ、初めて務めたデザイン事務所で使っていたものと同じコーヒーカップが目の前に現れた瞬間、足が止まった。

約15年前に事務所を去る日、いつかまたこのカップでコーヒーを飲みたいなと、初めて裏の刻印を確認し、今までずっと覚えていた。あちこちの実店舗でさがしても同じ形のものは見たことはなかったし、ネットで買おうなんて野暮なことはしない。


つい最近、そのデザイン事務所がもうすぐ移転する、と連絡があった。デザインの基本、全てを教えてもらったあの空間に、ここのところ再び想いを馳せていたから、こうして今日、このカップに出会えたのは運命なんだなと思う。

これまで運命的なことはもちろん、運命と思い込んでいることはたくさんあるけど、その方が幸せだなと思う。ミナのソファもいつか。

 

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※他の写真はインスタにアップしています。

連鎖

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久しぶりに開いたコラム本の冒頭3ページで手が止まってしまった。

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はっきりとした”悪意のメール”を受け取ったとき、「悪いことしていないのに、なんでこんなこと言われなきゃいけないの」とは思ず、自分がこの人を攻撃したのだろうなと思った。

コツコツとコラムを書き続けること自体、人によっては攻撃ととらえる人がいる。ある人が必死で自分を生きている。そのことだけで、すでに攻撃。

そして、著者が一番そっとして欲しかった時期、持ちきれなかった悪意を、自分より弱い、罪もない母にぶつけてしまった。

どうして、悪意は、つよいものから、弱いものへ、権力のあるものから、ないものへ、大人から、こどもへと、はけ口を求めるのだろう?

~中略~

今日、自分から良い連鎖を起こせるか。

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ある人が必死で自分を生きている姿を、攻撃と感じてしまう人、SNSでみるあの感じ、なんだか切ないが、わからなくもない。

いままで人を信じてきたし、大事な時には助けられてきたから、人の繋がりを誰よりも求めてしまう。

どうやらボクは、ひとに期待し過ぎちゃうから、毎回必ず少し裏切られるらしい。それを知ってから、とても楽になった。逆にもっとひとを信じられるようになり、いやだと感じる人が減った。

分人主義などと、簡単なことばで済まされちゃうのはシャクだが、それも当てはまってしまうようだ。

インターネット、特にSNSを利用するようになり、同じように社会から仕分けられ、引き寄せられた共通言語を持つ方々とは、話が早いし、とても心地良い。

しかし、SNSで知ったような気になって、そのままにしてある事も多い。全部を知るのは不可能だし、選択肢が多いのは逆に辛い。

流されちゃうと、みんなと同じ体験しかできないから、常に自分で選び続けて、リアルな経験を積み重ねていくのが大事だ。そうすれば無茶をしなくても、じゅうぶん生きてる実感はできる。

中略したところが、実は一番ぐさっと来た所だったのだけど、まだ消化できないからやめた。

とりあえず、今日は朝から部屋を片付けて、いつもより母と話した。